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『ジャズ大好き!』 第2話(コルトレーンから学ぶ) [Jazz]

ソネブロの皆様、今晩わ。

第1話では、ジャズとの出会いをお話ししましたが、
そのきっかけとなったジョン・コルトレーンのアルバム「至上の愛」についてもう少し続きがあります。
サークル仲間のS君から借りた「至上の愛」は、結局ジャズは難解で私にはついていけない、
やはりビートルズのように歌詞を覚えることが出来、歌いながら聴けるのりのりのロックが良い、と思いました。
ビートルズの恋の歌が好きでしたから。

こうして「至上の愛」はわずか3日間でS君に返しました。
「どうだった?」って言われて困惑しましたが、
正直に「何回も聴いたけどジャズって全く分からないんだ」と話すと、「じゃあ、コルトレーンの他のレコードを貸そう」と言うのです。
そして、私に3枚のコルトレーンのアルバムを貸してくれ、
「返すのは急がないでいいから気楽に聴いてご覧」とのこと。
その3枚が以下の通りです。(録音年月、レーベル名併記)

 1、「ジャイアント・ステップス」(1959年録音、Atlantic)

 2、「マイ・フェイバリット・シングス」(1960年10月録音、Atlantic)

 3、「バラード」(1962年9月、12月録音、Impulse)


では録音順に聴いてみようと思いました。
あとで知ったことですが、Impulse時代の黄金のカルテット(マッコイ・タイナー:p,ジミー・ギャリソン:b,エルビン・ジョーンズ:ds)の時代があり、
借りた3枚のうち、3番目がその黄金のカルテットの演奏で、
Atlantic時代の作品1と2は、確立したカルテット構成ではなく、
違うメンバーでした。
早速「ジャイアント・ステップス」にレコード針を落としました。
黄金時代のメンバーは一人もいなく、でもコルトレーンを中心に川が流れるような気持ちのよいリズムが私を包みました。
前回私が「機関銃のような演奏」といいましたが、コルトレーンの演奏は、音が切れること無くどこでブレスをしているか不思議なくらい音の流れがどこまでも淀みなく繋がっているのです。
ライナー・ノーツには、「シーツ・オブ・サウンド」と呼ばれる奏法で、このアルバムで頂点を極めた、と記載があり、
「モダン・ジャズ史上の傑作」とまで書いてある。
目くるめく音の洪水だが、不思議に胸がときめくのを感じた。
今となれば、この時のメンバーが如何に素晴らしいアーティストだったか思い知ることになるが、
そのときはジャズ演奏者の名前はマイルス・デイビスくらいしか知らないのであるから、
「至上の愛」の時のように、正座して聴く感じを捨て、S君の言う通り、あまり構えず気持ちを楽にして聴きました。
そしてこの時、初めて、ジャズに触れることができたのです。
すると、機関銃ではなく、私をジャズという音楽の醍醐味と奥深さを予感させる連続したサックスの音色にまるで優しく身を委ねることができたのです。

スタンダードナンバーがジャズにもあることは知っていました。
ですが1には1曲も無かったにもかかわらず、コルトレーンの真摯な演奏が心に響きました。

その翌年録音されたアルバム「マイ・フェイバリット・シングス」は、サマー・タイムを初め、スタンダードナンバーが沢山入っていました。
またタイトル曲が1曲目で、コルトレーンの演奏に慣れたせいとしても親近感の湧く名曲と思いました。
コルトレーンもこの曲が好きだったのでしょう、その後もたびたび演奏し、レコーディングしています。
マイ・フェイバリット・シングスの演奏録音がこのアルバムで初録音だったのですね。
この曲は彼の得意ナンバーだったようです。
ここでは14分近くもたっぷり演奏しています。
またマッコイ・タイナー、エルビン・ジョーンズといったメンバーもここで登場、その後の黄金カルテットの強力なサウンドをもたらすことになります。
とにかく4曲全てに初めて心を預けました。
すると「ジャズって難解」と思っていた自分はなんだったんだろうと思いました。
好きな曲(好きなジャニス・ジョプリンも歌っていた)サマー・タイムでは、
コルトレーンのテナーサックスとリズム隊のコンビネーションに身を任せ、
自然と心も身体もスイングしている自分に気がつきました。

そして極めつけは3の「バラード」です。
ポップ・ナンバーまで入ったバラードの名曲を誠実に演奏するコルトレーンを発見しました。
収録8曲のほとんどがフランク・シナトラ、ナット・キング・コールのレパートリーであることもライナーノーツに書いてあったかは今となっては知る由もないですが、
Impulse時代の名盤、というよりジャズのバラード集の最高峰と思うほど素晴らしい演奏でした。
当時何も知らない私がそう感じたのです。
1曲目のセイ・イットでいきなりカウンターパンチ!
なんというテナー・サックス・ソロの優しいささやきなのだ!
トゥー・ヤング・トゥ・ゴー・ステディがまた美しい曲、
そしてアイ・ウイッシュ・アイ・ニューもホワッツ・ニューもイッツ・イージー・トゥ・リメンバーも、いや全ての曲に魅了されている自分がいた。
コルトレーンってなんと真摯で心の優しい、でも自分には厳しいアーティストだろう、と思ったのがこの「バラード」だった。
8曲全部聴き終えて、満足感とともに、一抹の悲しさを感じた。
それは今後私がたどるコルトレーンのアルバムに対する素直な気持ちだ。

「至上の愛」当時、コルトレーンはインド音楽等の影響を受けていたという。
何かにすがりたかったのだろう、きっと。
彼の顔が載っているアルバムジャケットを見て下さい。
笑っているジャケットは一枚もないと思います。
音楽をどこまでも探求し、その徹底精神が彼を病いに追い込み、
そして私たちはジャズ・ジャイアンツを失う結果となるのです。

来月17日はコルトレーンの命日です。
(1967年7月17日、肝臓癌で40歳の若さで他界。)
あいにく旅行の予定ですので、前日16日にコルトレーンを偲んで、
我が家のフル・オーディオで彼の全アルバムを一日中聴こうと思っています。

それにしても、S君にはやられた。
でもそれが私へのJAZZ入門の彼流の紹介だったのだ。
あれから30数年、LP蒐集からCD蒐集に代わって置き場所は楽になったと思ったら、
逆に枚数が増えてしまって今では400枚以上で、またもや置き場所に困っている。
(もちろんジャズだけではないが、おそらく85%以上はジャズと思われる。)
またレンタルCDからMDに落としたJ-POPやロックなどもかなりの枚数があるのです。

話を本題に戻そう。
こうしてコルトレーンからジャズを聴く楽しさを教わり、
スイング・ジャーナルを購読、新譜も1950〜1970年代のジャズも購入して、ジャズにのめり込んでゆきました。

今日はこのへんで。


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(。・_・。)2k

僕も昨年の暮れからJAZZにハマってます
僕はジプシーJAZZのスイング感がたまらなく好きで
良く聴くのはDJANGO REINHARDTです。
仕事中も移動中も1日中聴いてますよ。
by (。・_・。)2k (2006-06-27 00:34) 

miho-rin

JAZZ 詳しくないけど、好きです。
夜に聴きたくなりますね
by miho-rin (2006-06-27 10:37) 

笙野みかげ

はじめまして。散歩中コチラの記事に来ました。わたしもジャズ好きです。
コルトレーンから入ったのですね♪ でもいきなり「至上の愛」はないだろうなぁ(笑
私の最初の出会いはオスカー・ピーターソンでした。これもベタですね~^^
by 笙野みかげ (2006-06-27 16:52) 

TOM

訪問ありがとうございました。CD屋でJAZZのベスト版を何枚か購入しましたが、皆良い曲ばかりで気に入っています。
by TOM (2006-06-27 21:14) 

mouse1948

kurakichiさん、こんばんわ。
こちらにもお越し下さり、nice!をありがとうございます。
by mouse1948 (2010-02-27 19:07) 

mouse1948

2kさん、
miho-rinさん、
笙野みかげさん、
TOMさん、こんばんわ。
お越し下さり、nice!&コメントをありがとうございます。
by mouse1948 (2010-02-27 19:09) 

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